飲み会でお酒を断るとき、多くの人は「うまい理由」を探そうとします。しかし結論から言えば、断る理由は本来いりません。ここではシーン別にそのまま使える15のフレーズと、理由を説明せずに済ませる技術を紹介します。乾杯・酌・会食・二次会など、場面が変われば適した言い方も変わります。自分がよく直面するシーンから読んで、そのまま使ってみてください。

この記事の要点

  • お酒を断るのに、納得してもらえる理由を用意する必要は本来ない
  • 乾杯・上司の酌・取引先・二次会など、シーン別に使える具体的なフレーズがある
  • 飲み文化や誘ってくれる相手を否定せず、「うまくかわす大人の技術」として断ることができる

大前提: 断る理由は要らない

「なぜ飲まないの?」と聞かれると、つい説明したくなります。しかし、飲む夜も飲まない夜も同じ格で選べていい、というのがSHIRAFUの考え方です(この考え方は断酒・減酒 完全ガイドでも詳しく扱っています)。体質、体調、翌日の予定、単にその日の気分——理由は何であれ、それを詳しく説明する義務はありません。日本の飲み会文化では「なぜ飲まないか」を尋ねられる場面が多くありますが、これは多くの場合、悪気のない気遣いや会話のきっかけとして発せられていることがほとんどです。

大切なのは、飲み文化やお酒そのもの、そして誘ってくれた相手を否定しないことです。断ることは「その場を気まずくすること」である必要はなく、むしろスマートに場を続けられる技術です。以下のフレーズは、角を立てずに、かつ理由を掘り下げられずに済むように設計しています。丸暗記する必要はなく、自分の言葉に置き換えながら使ってみてください。

シーン別の断り方15選

乾杯のとき

飲み会の最初の乾杯は、最もお酒を勧められやすい瞬間です。ここでの一言が、その後の夜のペースを決めます。

  1. 「乾杯だけ付き合います、あとはソフトドリンクで」 乾杯という儀式には参加しつつ、以降は自分のペースを保てる一言です。「参加はする」という姿勢を見せることで、場に水を差した印象を与えずに済みます。
  2. 「今日はノンアルでいきます、乾杯!」 宣言してしまうことで、以降いちいち聞かれずに済みます。明るいトーンで言えば、それ以上突っ込まれることはほとんどありません。
  3. 「今、調整期間中なんです」 詳細を語らずに済む便利な言葉です。相手も深く聞きにくくなります。ダイエットや体調管理など、様々な事情を想像してもらえる言い回しです。

上司から酌をされたとき

上司や先輩からの酌は、断りにくさを感じやすい場面の一つです。相手の厚意を否定せず、かつ自分のペースを保つ言い方を用意しておくと安心です。

  1. 「ありがとうございます、今はグラスに残っているので大丈夫です」 グラスを空けきらないことが、次の酌を断る自然な理由になります。感謝の言葉を先に添えるのがポイントです。
  2. 「今日は車なので」 運転がある場合はもっとも明快な理由になります。相手も納得しやすく、それ以上聞かれることはまずありません。
  3. 「実は最近、健康診断で言われてまして」 詳しく聞かれにくく、かつ相手も踏み込みづらい言い方です。健康を理由にすると、多くの場合はそれ以上勧められません。

取引先との会食

取引先との会食では、仕事上の印象への影響を気にする人も多いですが、飲まないことと仕事の評価は別物です。むしろ好印象につながる伝え方もあります。

  1. 「お気遣いなく、私はこちらのウーロン茶で楽しんでいます」 相手に気を遣わせない一言を添えると、場の空気を壊しません。自分から先に伝えておくことで、相手も気にせず飲めます。
  2. 「今日は大事な話をしっかり聞きたいので、あえて素面でいます」 仕事への姿勢としてポジティブに変換できる言い方です。真剣に商談や会話に向き合う姿勢として好意的に受け取られることが多いです。
  3. 「お酒は弱いのですが、料理はすごく楽しみにしていました」 話題を料理や場そのものに移すことで、自然に流せます。会話の焦点をお酒から食事や場の雰囲気に切り替える効果があります。

同僚に詮索されたとき

同僚や友人からの「なんで飲まないの?」という質問は、悪気なく発せられることがほとんどです。深刻にならず、軽く返せる言葉を持っておきましょう。

  1. 「最近ちょっと調子を整えていて」 具体性を持たせずに済む、汎用性の高い言い方です。曖昧さがあることで、相手もそれ以上追及しにくくなります。
  2. 「試しに1ヶ月やめてみてるんだよね」 期間を区切って伝えると、相手も「じゃあ次は」と軽く流しやすくなります。挑戦として伝えることで、前向きな会話になりやすいのも利点です。
  3. 「なんかいいノンアルにハマってて、それ飲みたい気分」 ネガティブな理由ではなく、前向きな興味として伝える方法です。「やめている」のではなく「選んでいる」というニュアンスが伝わります。

二次会

二次会への誘いは、1軒目よりも断りやすい場面です。最初の会をきちんと楽しんだ上で、気持ちよく切り上げる言い方を用意しておきましょう。

  1. 「今日はここで解散するね、また誘って」 次への意欲を見せることで、気まずさを残しません。「また今度」を添えることで、関係を断つ印象を与えずに済みます。
  2. 「明日朝イチで用事があって」 具体的な予定は、最も角の立たない断り方の一つです。理由が明確なため、誰にとっても納得しやすい伝え方です。
  3. 「もう十分楽しんだから、いい気分のまま帰るわ」 満足して帰ることを伝えると、相手も安心して見送ってくれます。「楽しかった」という気持ちを言葉にすることで、ポジティブな印象のまま場を離れられます。

断らずに済ませる技術

そもそも「断る」場面を減らす工夫もあります。断るという行為自体が発生しないようにすれば、気を遣う場面もそれだけ減ります。

それでも気まずいときの考え方

どれだけ工夫しても、気まずさをゼロにはできない場面もあります。特に、普段からよく飲む相手や、飲み会の場を大切にしている上司・先輩との間では、多少の気まずさが生まれることもあるでしょう。そんなときは、相手や飲み文化を否定しているわけではないと自分の中で確認してください。あなたが選んでいるのは「今日は飲まない」という一つの選択であって、相手の飲み方や飲み会そのものを否定しているわけではありません。

理由を聞かれても答えたくないときは、無理に取り繕わず「まあ、なんとなく」くらいの軽さで流してしまって構いません。それも立派な、スマートな断り方の一つです。何度か同じ場に顔を出していれば、「この人はそういうスタイルなんだ」と周囲も自然に受け止めてくれるようになります。一度で完璧に伝えようとせず、少しずつ自分のスタイルとして定着させていく、というくらいの気持ちで十分です。

よくある質問

「一杯だけ」と言われたら?

「今日は本当に大丈夫です、でも楽しんでください!」と、自分の選択を保ちながら相手の飲み方を尊重する言い方がおすすめです。何度も勧められる場合は、同じフレーズを穏やかに繰り返すだけでも十分効果があります。

体質的に飲めない場合の伝え方は?

「体質的に受け付けなくて」は最も明快で、相手も深追いしにくい伝え方です。事実であれば、遠慮せず使ってください。日本人はアルコールを分解する酵素(ALDH2)の働きが弱い人の割合が高く、厚生労働省のガイドラインでも、飲酒により顔が赤くなる・動悸や吐き気がするといった「フラッシング反応」を起こす体質の人が日本では4割程度いるとされています。こうした事情を伝えることに引け目を感じる必要はありません。

飲まないと出世に響く?

飲み会への参加そのものが評価に直結するかどうかは会社や職場文化によって差があり、一律には言えません。ただ、お酒を飲まないことと評価は、本来切り離して考えられるべきものです。飲み会に参加すること自体は、関係構築の一つの手段ではありますが、それがすべてではありません。参加した上で飲まない、という選択も十分に成立します。

参考文献