「Z世代はお酒を飲まない」とよく言われますが、データを見ると実態はもう少し複雑です。米国では18〜34歳の飲酒率が20年間で明確に下がっており、英国でも同様の傾向が報告されています。日本でも国全体の飲酒量が減る中、若い世代の飲み方は上の世代と異なる形に変化しています。この記事では、確認できる調査データをもとに、何がどう変わっているのかを整理します。

この記事の要点

  • 米国Gallupの調査では18〜34歳の飲酒率が2001〜03年の72%から2021〜23年に62%へ低下し、2023年から2025年の2年間でも59%から50%へさらに下がっています
  • 英国では18〜24歳の30%が「昨年より飲酒量が減った」、13%が「完全に飲酒をやめた」と回答(CGA by NIQ、2024年)
  • 国内の調査では、飲む・飲まないの二択ではなく「無理して飲むものではない」という意識が広がっており、飲み会文化そのものへの参加意欲は必ずしも減っていません

Z世代の「酒離れ」はデータで本当か

まず海外の数字から見ていきます。米国Gallup社が2023年に発表した調査では、18〜34歳のうち「お酒を飲む」と回答した人の割合は、2001〜2003年の平均72%から、2021〜2023年の平均62%へと、20年間で10ポイント低下しました。同じ調査では、直近1週間に飲酒したと答えた人の割合も67%(2001〜03年)→64%(2011〜13年)→61%(2021〜23年)と、緩やかな下降が続いています。

さらに2025年8月発表の別のGallup調査では、米国全体の飲酒率が2023年の62%から2025年は54%まで下がり、これは同社の調査史上でも最低水準だと報じられています。このうち18〜34歳に限ると、2023年の59%から2025年には50%まで、わずか2年で9ポイント下落しました。同調査では35歳以上の飲酒率も下がってはいるものの、若年層ほど下落幅が大きいと報告されています。

英国でも同様の傾向が確認されています。飲食業界向けの市場調査会社CGA by NIQが2024年に発表したデータによれば、18〜24歳の30%が「1年前より飲酒量が減った」、13%が「完全に飲酒をやめた」と回答しました。理由として74%が「健康的な生活を送りたいから」を挙げています。一方で、同じ年齢層の86%が過去3ヶ月以内にパブやバーを訪れており、60%は週1回以上外出していると答えています。「飲まなくなった」ことと「飲みの場から離れた」ことは、必ずしもイコールではないようです。

日本については、国全体の飲酒量の推移は日本のアルコール消費量はどれだけ減ったかで詳しく扱っていますが、若い世代に絞った調査もいくつか存在します。ReBear合同会社が2024年10月〜2025年1月に実施したインターネット調査(20代対象・有効回答665名)では、「全く飲まない」と答えた人が27.7%、「週1〜2回飲む」が28.9%、「ほぼ毎日飲む」は5.9%にとどまりました。「飲まない」と「たまに飲む」を合わせると過半数を占める一方、「ほぼ毎日」という習慣的な飲酒はごく少数派という構図です。

ここまでの数値を一覧にすると、次のようになります。

調査・国対象年齢指標数値の推移発表年
Gallup(米国)18〜34歳「お酒を飲む」と回答した割合72%(2001〜03年平均)→ 62%(2021〜23年平均)2023年
Gallup(米国)18〜34歳同上(直近)59%(2023年)→ 50%(2025年)2025年
Gallup(米国)全年齢「お酒を飲む」と回答した割合62%(2023年)→ 58%(2024年)→ 54%(2025年)2025年
CGA by NIQ(英国)18〜24歳「昨年より飲酒量が減った」30%(2024年時点)2024年
CGA by NIQ(英国)18〜24歳「完全に飲酒をやめた」13%(2024年時点)2024年
ReBear(日本)20代・665名「全く飲まない」27.7%(2024年10月〜25年1月調査)2025年

これらの数字を並べると、「Z世代は酒を飲まない」という一言でまとめるより、「飲酒率は緩やかに下がり続けているが、ゼロになったわけではない」と表現するほうが実態に近いといえます。

「飲まない理由」を分解する

なぜ飲酒率が下がっているのか、確認できた調査から要因を分解してみます。

健康志向: 前述のCGA by NIQ調査では、飲酒量を減らした18〜24歳の74%が「健康的な生活を送りたいから」を理由に挙げており、73%は「環境に配慮した選択をしたい」とも回答しています。健康と生活全般への意識の高まりが、飲酒量の見直しと重なっている可能性があります。

強制されない環境: 「スマドリ株式会社」と「一般社団法人渋谷未来デザイン」が実施した全国調査(2025年発表分)では、「お酒は無理して飲むものではないと思う」と答えた人が全国平均で69.6%にのぼりました。この意識自体は特定の世代に限った話ではありませんが、飲酒を「強制されるもの」と感じにくい環境が広がっていることは、飲まない選択のしやすさにつながっていると考えられます。

選択肢の存在: ノンアルコール飲料やモクテルなど、飲酒以外の選択肢が増えていることも要因の一つとして指摘できます。市場側の動きはノンアルコール市場はなぜ伸びているのかで扱っていますが、選べる代替飲料が増えるほど、「飲まない」を選んでも場に居づらくなりにくい、という関係は自然に成り立ちます。

お金や時間への意識: 飲酒量の減少とコストパフォーマンス・タイムパフォーマンスへの関心の高まりを結びつける論調は複数のメディアで見られますが、これを裏づける具体的な調査数値は今回確認できませんでした。ここでは仮説の一つとして留めておきます。

いずれの要因も単独で酒離れを説明するものではなく、複数の変化が重なって現在の飲酒率につながっていると見るのが妥当です。

「飲まない」は「付き合わない」ではない

データが示すもう一つの重要な点は、「飲まない」ことと「飲みの場を避ける」ことが必ずしも一致しないという事実です。

前述のCGA by NIQ調査では、飲酒量が減った18〜24歳の86%が過去3ヶ月にパブ・バーを訪れ、60%は週1回以上外出していました。国内でも、スマドリの全国調査で「積極的にノンアルコール・低アルコール飲料を選んでいる」と答えた人は全国平均で33.7%、調査対象の渋谷区では45.6%に達しています。飲酒をしない、あるいは減らしながらも、外で人と過ごす時間そのものは手放していない層が一定数存在することがうかがえます。

これは、飲まない選択を「消極的な欠落」ではなく「積極的な選び方」として捉える動きとも重なります。ノンアルコール飲料やモクテルを、我慢の代替品としてではなく最初から選ぶという姿勢について、こうした過ごし方の広がり全体はソバーキュリアスとはでも紹介しています。

上の世代との違いは「量」より「文脈」

世代間の違いを見るとき、「量」だけで比較すると見えにくいものがあります。厚生労働省の令和5年(2023年)国民健康・栄養調査によれば、「生活習慣病のリスクを高める量」を飲酒している人の割合は、男性で40歳代が23.6%、女性で50歳代が14.6%と、いずれも中高年層で最も高くなっています。つまり、飲酒量そのものに着目すると、リスクの高い飲み方は若年層より中高年層に偏っているというのが、公的統計から読み取れる姿です。

一方で変化しているのは「飲み会という場の文脈」です。スマドリ株式会社とSHIBUYA109 lab.が2025年に実施した調査「MZ世代 飲み会に対するホンネ」では、上司が同席する飲み会について「楽しい」と答えた人は33.4%にとどまり、「気まずい」が66.7%を占めました。一方、同世代の同僚との飲み会については「好き」50.8%、「苦手」49.1%とほぼ二分しており、上下関係のある場と同世代の場とで受け止め方が明確に異なっています。

TimeTree社が独自データをもとに2025年12月に公開した分析でも、「忘年会」「新年会」に関連する言葉の使用がコロナ禍前の2019年水準まで回復していない一方、「同期会」は2019年水準まで回復しているとされています。また、若い世代の間では「飲みに行こう」ではなく「ごはん行こう」「焼き鳥に行こう」のように、目的を先に示す誘い方が増えている傾向も報告されています。

これらを総合すると、若い世代が拒んでいるのは「お酒そのもの」というより、「上下関係を前提にした、目的の曖昧な飲みの場」である可能性があります。量の問題として語るより、場の文脈の問題として捉えたほうが、データの実態に近いといえそうです。

企業・ブランドはどう応えているか

こうした変化を受けて、企業側の動きも活発になっています。アサヒビールと電通デジタルの合弁会社が展開する「スマドリ」は、「飲める人・飲めない人、飲みたい時・あえて飲まない時、それぞれに合った選択ができる社会」を掲げ、渋谷未来デザインとの「渋谷スマートドリンキングプロジェクト」を通じて、大学生など若い世代との共創に取り組んでいます。前述の通り、スマドリの認知度は全国調査で確認されており、渋谷エリアではノンアルコール・低アルコール飲料を積極的に選ぶ人の割合が全国平均を上回っていました。

ノンアルコール飲料市場全体の拡大や各社の商品展開については、ノンアルコール市場はなぜ伸びているのかで詳しく扱っています。若い世代の飲酒観の変化と、選べる飲料の選択肢が増えていることは、互いに影響し合いながら進んでいると見るのが自然です。

SHIRAFUの視点: 世代の問題ではなく、選択肢の問題

ここまでのデータを振り返ると、「Z世代だから飲まない」という単純な図式では説明しきれない部分が多くあります。米国や英国のデータは飲酒率の低下を示していますが、同時に「飲みの場そのものから離れたわけではない」ことも示しています。国内の調査からは、上下関係のある飲み会に対する居心地の悪さと、同世代同士の集まりへの前向きさが、はっきり分かれていることが見えてきました。

私たちはこれを「世代の断絶」としてではなく、「選択肢が増えた結果」として捉えています。飲む夜も、飲まない夜も、同じ場に同じ格で参加できること。それは特定の世代だけに必要なものではなく、上司世代にとっても、これから社会に出る世代にとっても、共通して価値のあることのはずです。「今日は飲まない」に理由がいらない世界は、若い世代のためだけに用意するものではなく、すべての世代が今より少しだけ過ごしやすくなるための選択肢だと考えています。

よくある質問

Z世代は本当にお酒を飲まない?

完全に飲まないわけではありません。米国・英国の調査では飲酒率の低下が確認されていますが、飲みの場自体への参加は必ずしも減っておらず、「飲まない選択肢が増えた」と捉えるのが実態に近いです。

若者の酒離れの理由は?

健康志向の高まりや、飲酒を強制されない環境の広がり、ノンアルコール飲料など代替の選択肢の増加が要因として指摘されています。単一の理由ではなく複数の変化が重なっていると考えられます。

飲みニケーションは終わった?

上下関係のある飲み会への居心地の悪さは調査でも示されていますが、同世代同士の飲み会は好意的に受け止められています。終わったというより、場の設計が問われている段階といえそうです。

Z世代に人気の飲み物は?

ノンアルコール・低アルコール飲料を積極的に選ぶ人が増えているという調査結果があります。具体的な選び方は大人のノンアル完全ガイドで紹介しています。

参考文献

※本記事のデータは2026年7月時点で確認した公開資料に基づきます。最新値は各出典をご確認ください。