日本の成人1人当たり酒類消費数量は、1992年度(平成4年度)の101.8リットルをピークに減少を続け、2023年度(令和5年度)には75.6リットルとなりました。約30年間で26%ほど減った計算になります。ただし、2022年度・2023年度は2年連続でわずかに増加しており、単純な右肩下がりでは説明しきれない動きも出ています。この記事では、国税庁と厚生労働省の公開データをもとに、日本の飲酒量がどう変わってきたのかを数字で追っていきます。

この記事の要点

  • 成人1人当たりの酒類消費量は1992年度の101.8Lから2023年度の75.6Lへ約26%減少。ただし2022・2023年度は2年連続でわずかに増加しており、下げ止まりの兆しもある
  • 種類別ではビール・清酒が大きく減った一方、ウイスキーやスピリッツ等(高アルコール系チューハイなど)は大幅に増えており、「一様に減っている」わけではない
  • 厚生労働省の調査では、週3回以上飲酒する「習慣飲酒者」の割合は男性で30年間に約18ポイント減少した一方、女性はわずかに増加しており、性別による違いも明確

日本のアルコール消費量はどれだけ減った?

国税庁が公表している「酒レポート(令和7年7月)」によれば、成人(20歳以上)1人当たりの酒類消費数量は1992年度(平成4年度)の101.8Lが過去最高で、そこから緩やかな減少が続いています。直近の2023年度(令和5年度)は75.6Lで、ピーク比では約26%の減少です。

ただし、減少は一直線ではありません。国税庁「酒のしおり(令和7年7月)」の統計を見ると、2021年度(令和3年度)に74.3Lまで落ち込んだあと、2022年度は75.4L、2023年度は75.6Lと2年連続でわずかに増加しています。国税庁自身も酒レポートの中で、2023年度の酒類消費(販売)数量が「10年前と比較して約9%減少」していると述べており、長期的な減少トレンドの中にも、ここ数年は下げ止まりに近い動きが見られる状況です。

国税庁データで見る酒類消費の推移

減少の中身をもう少し細かく見ると、すべての酒類が同じように減っているわけではないことが分かります。国税庁「酒のしおり(令和7年7月)」の付表から、成人1人当たり消費数量(20歳以上、リットル)の推移を主要な品目別に抜き出したのが以下の表です。

品目2013年度(平25)2018年度(平30)2023年度(令5)2013年度比
合計82.8L79.3L75.6L91.0%
ビール25.7L22.9L21.5L83.4%
発泡酒7.2L6.0L7.2L100.0%
その他の醸造酒等(新ジャンル)6.8L4.5L2.3L33.9%
リキュール(チューハイ等)20.3L22.0L19.7L96.9%
スピリッツ等(高アルコール系チューハイ等)2.7L5.2L8.3L310.8%
清酒5.6L4.7L3.8L67.3%
焼酎(連続式・単式蒸留の合計)8.8L7.5L6.5L73.9%
ウイスキー1.0L1.7L2.0L187.8%
果実酒(ワイン)3.2L3.4L3.2L99.8%

出典: 国税庁「酒のしおり(令和7年7月)」12 酒類販売(消費)数量の推移/付表

この表から読み取れる特徴は大きく3つあります。

ビールと清酒は明確な減少傾向。 ビールは2013年度の25.7Lから2023年度は21.5Lへと約17%減少しました。清酒はさらに減少幅が大きく、同じ期間で5.6Lから3.8Lへと約33%減っています。国税庁の統計年報ベースで見ると、清酒の課税数量そのものは1973年度(昭和48年度)の177万klがピークで、2023年度は39万klとピーク時の3割以下まで落ち込んでいます。

「新ジャンル」からリキュール・スピリッツへの移動。 かつて「第三のビール」と呼ばれた「その他の醸造酒等」は2013年度の6.8Lから2023年度は2.3Lへと3分の1程度に激減しました。一方でリキュール(一般的なチューハイが多く含まれる区分)はほぼ横ばい、スピリッツ等(高アルコール度数のチューハイなどが多く含まれる区分)は2.7Lから8.3Lへと3倍以上に増えています。国税庁は酒レポートの中で、平成6年度以降のビール減少について「ビールから低価格の発泡酒(いわゆる『新ジャンル』を含みます)やチューハイなどのリキュール等に消費が移行していることが一因と考えられます」と説明しており、近年では2020年10月・2023年10月のビール類の税率改正によって、ビール系飲料全体の課税数量が増加傾向に転じている点にも触れています。

ウイスキーは大きく伸びている。 1.0Lから2.0Lへとほぼ倍増しており、ハイボール人気などを背景に、消費が減っている酒類ばかりではないことが分かります。

「習慣的に飲む人」はどれだけ減った?

数量ベースの推移とあわせて見ておきたいのが、「どれくらいの頻度で飲む人がいるか」という習慣の変化です。厚生労働省の e-ヘルスネットが公表しているデータ(国民健康・栄養調査の時系列データに基づく)によれば、週3回以上飲酒する「習慣飲酒者」の割合は、男性では平成元年(1989年)の51.5%から令和元年(2019年)には33.9%へと、30年間で約18ポイント低下しました。

一方、女性の習慣飲酒者の割合は、同じ期間で6.3%から8.8%へとわずかに増加しています。「日本人は酒を飲まなくなった」という一言では片づけられない、性別による対照的な動きがここに表れています。

世代別・性別で見ると?

より細かい年代別のデータとして、厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要」では、「生活習慣病のリスクを高める量」を飲酒している人(1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上の人)の割合を年齢階級別に公表しています。

令和元年(2019年)の数値を見ると、男性全体では14.9%、女性全体では9.1%がこの基準に該当します。年齢階級別のピークは男性が40歳代の21.0%、女性が50歳代の16.8%で、いずれも中高年層で最も高くなっています。対照的に、20歳代は男性6.4%・女性5.3%と、どの年代よりも低い水準です。

年齢階級男性女性
20〜29歳6.4%5.3%
30〜39歳13.0%11.7%
40〜49歳21.0%13.9%
50〜59歳19.9%16.8%
60〜69歳19.7%8.4%
70歳以上8.5%3.5%

出典: 厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要」図39

この調査からは、平成22年(2010年)以降の推移として、男性は有意な増減が見られない一方、女性は有意に増加していることも報告されています。若年層で飲酒量の多い人の割合が低い一方、中高年層、特に女性の40〜50歳代で「リスクを高める量」を飲む人の割合が相対的に高いという、単純な世代論では捉えきれない構造が見えてきます。若年層の飲酒に関する海外の動きとしては、米国の世論調査機関ギャラップの調査で、35歳未満で「お酒を飲む」と回答した人の割合が2001〜2003年の72%から2021〜2023年には62%へ低下したという報告もあり、日本国内に限らない傾向として捉えられます。若い世代の飲酒行動やその背景については、Z世代はなぜ飲まないのかで詳しく扱っています。

なぜ減っているのか

消費量が長期的に減少してきた背景には、単一の理由ではなく複数の要因が重なっていると考えられます。

人口動態の変化。 総務省統計局の人口推計をもとにした国税庁の資料では、日本の総人口は平成20年(2008年)の1億2,808万人をピークに減少に転じており、令和5年(2023年)は1億2,435万人となっています。飲酒量の多い年齢層の人口構成が変わっていくこと自体が、国全体の消費量を押し下げる要因になります。

消費者の低価格志向と嗜好の多様化。 国税庁は酒レポートの中で、国内の酒類市場が「少子高齢化や人口減少等の人口動態の変化、消費者の低価格志向、ライフスタイルの変化や嗜好の多様化等により、全体として縮小傾向にある」と分析しています。飲み物の選択肢そのものが増え、お酒が唯一の選択肢ではなくなってきたことが背景にあると言えます。

健康志向の高まり。 厚生労働省のe-ヘルスネットでは、多量飲酒や長期的な飲酒習慣による健康リスクについての情報提供が行われており、睡眠や翌朝のコンディションへの関心の高まりとともに、飲酒習慣を見直す人が増えていると考えられます。

若い世代の価値観の変化。 前述のとおり、20歳代は他の年代と比べてリスクを高める量の飲酒者割合が低く、若年層を中心に「なんとなく飲む」機会そのものが減っている可能性があります。この点は複合的な要因が絡むため、詳しくはZ世代はなぜ飲まないのかで改めて掘り下げます。

これらの要因は互いに独立したものではなく、重なり合いながら消費量の減少という結果につながっていると私たちは見ています。

減った消費はどこへ向かったか

消費が単純に消えてなくなったわけではない、という点も見ておきたいポイントです。前述のとおり、スピリッツ等(高アルコール系チューハイなどが多く含まれる区分)の消費量は2013年度から2023年度にかけて3倍以上に増えており、飲む人の中では、より少ない量で満足感を得られる高アルコール志向や、逆に自分で量をコントロールしやすい低アルコール志向へと、選択が分かれている様子がうかがえます。

同時に、お酒を飲まない、あるいは飲む量を減らした時間の受け皿として、ノンアルコール飲料や低アルコール飲料の市場も拡大しています。この市場がどのように伸びてきたのか、何が背景にあるのかは、ノンアルコール市場はなぜ伸びているのかで数字とともに詳しく紹介しています。

飲む夜も、飲まない夜も、選択肢が増えていくこと自体は、私たちSHIRAFUにとって歓迎すべき変化です。大切なのは「減ったかどうか」よりも、それぞれの夜に合った選び方ができているかどうかだと考えています。飲まない選択の文化的な背景についてはソバーキュリアスとは?でも紹介していますので、あわせてご覧ください。

よくある質問

日本人の飲酒量はピーク時からどれくらい減った?

成人1人当たりの酒類消費数量は、1992年度(平成4年度)の101.8Lをピークに、2023年度(令和5年度)には75.6Lまで減少しました。約26%の減少ですが、2022・2023年度は2年連続でわずかに増加しています。

お酒を飲まない人の割合は?

国税庁や厚生労働省の統計は「飲まない人」の割合そのものより、「習慣的に飲む人」の割合を公表しています。厚生労働省の調査では、週3回以上飲酒する人の割合は男性33.9%(令和元年)で、平成元年の51.5%から大きく低下しました。

ビール離れは本当?

成人1人当たりのビール消費量は2013年度の25.7Lから2023年度は21.5Lへと約17%減少しています。ただし2020年・2023年のビール類税率改正以降は、ビール系飲料全体の課税数量が増加傾向に転じているとも国税庁は報告しています。

世界でも飲酒量は減っている?

国ごとの平均を単純比較したデータは今回確認できませんでしたが、米国の世論調査ギャラップでは35歳未満の飲酒率が2001〜2003年の72%から2021〜2023年には62%に低下しており、少なくとも若年層では先進国に共通する傾向がうかがえます。

参考文献

※本記事のデータは2026年7月時点で確認した公開資料に基づきます。最新値は各出典をご確認ください。