サウナ上がりの「ととのった一杯」にビールを選ぶと、サウナの発汗ですでに失われている水分に、アルコールの利尿作用による水分排出が重なり、脱水の方向をさらに強めてしまう可能性があります。消費者庁も「飲酒後にサウナ浴をする」ことを、事故につながりやすい危険な入り方の一つとして名指しで挙げています。この記事では、サウナと飲酒が重なるときに体で何が起きているのかを整理し、サウナ後に選びたい一杯について考えます。

この記事の要点

  • サウナは10分程度の入浴で汗を500mL前後かくとされ、これは体重の約1%に相当します。体重の1〜2%の水分を失うと脱水症状が出始めるとされています
  • アルコールには利尿作用があり、摂取した水分量以上を尿として排出させる働きがあるため、発汗後にビールなどを飲むと水分不足をさらに広げる方向に働きます
  • 消費者庁は「飲酒後にサウナ浴をする」ことを事故につながる危険な入り方の一つに挙げ、専門家も飲酒後・二日酔いでのサウナ利用を避けるよう勧めています

サウナでは体からどれくらいの水分が失われる?

サウナ室は室温50〜100℃という高温環境です。消費者庁がまとめた資料によると、10分間のサウナ浴で汗が500mL程度出るという報告があり、これは体重の約1%に相当する量です。サウナ・水風呂・外気浴を数セット繰り返す一般的な入り方であれば、失われる水分の総量はさらに増えていきます。

人間は体重の1〜2%の水分を失うと脱水症状が現れ始め、嘔吐や微熱を引き起こすことがあるとされています。さらに脱水が進むと全身倦怠感や頭痛、めまいなどの症状につながり、重度の場合は命に関わることもあると消費者庁は説明しています。そのため、サウナ浴では入浴前にコップ1〜2杯の水分を摂り、入浴中もこまめに水分補給を行い、入浴後もコップ1〜2杯を目安に水分を補うことが推奨されています。サウナ後に体重が減っていても、それは主に脱水による一時的な変化であり、脂肪が減ったわけではない点にも注意が必要です。

なぜサウナ後の一杯にビールを選ぶと脱水が進みやすいのか?

「ととのった後は、まず水分補給」という発想自体は多くの人が知っています。ただ、その最初の一杯にビールなどのアルコール飲料を選ぶと、狙いとは逆の方向に働いてしまうことがあります。

アルコールには利尿作用があり、体に摂り入れた水分量以上を尿として排出させる働きがあります。つまりビールを1杯飲んで水分を「補給したつもり」になっても、体内では摂取した以上の水分が失われていく計算になりやすいのです。サウナですでに汗として水分を手放している状態に、この利尿作用が重なることで、体はより一層水分不足の方向に傾きます。のどの渇きが癒えたように感じられても、体内の水分バランスは改善していない、という状態が起こり得るということです。

だからこそ、サウナ後の最初の一杯は、アルコールを含まない水や経口補水液にして、まず体の水分を戻すことを優先するのが理にかなっています。「一杯目をどう選ぶか」だけで、サウナ後のリカバリーの質は大きく変わってきます。

サウナ前・二日酔いでの利用も危険なのはなぜ?

消費者庁の資料では、「体を温度に慣らさずいきなりサウナ室に入る」「我慢して長時間のサウナ浴をする」と並んで、「飲酒後にサウナ浴をする」ことが事故につながる危険な入り方の一つとして挙げられています。同資料に寄せられた専門家コメントでも、サウナの利用を避けるべき状態として、体調のすぐれないときや食事・運動の直後などと並び、「飲酒後(二日酔いも含む)」が明記されています。

理由の一つは、アルコールによって判断力が落ちることです。サウナ室内で体調の異変を感じたときは、早めに退室したり周囲に知らせたりすることが事故を防ぐ鍵になりますが、酔った状態や二日酔いの状態ではこうした「危険サイン」への気づきが遅れやすくなります。加えて、すでに水分を失いやすい状態で高温環境に入ることになるため、脱水や熱中症のリスクも重なりやすくなります。サウナ前の飲酒や、二日酔いのままのサウナ利用は、いずれも避けたほうがよい組み合わせということです。

サウナ後の水風呂・外気浴では体に何が起きている?

サウナ後の「ととのい」を作る水風呂や外気浴にも、体にとっては大きな負荷がかかっています。消費者庁の資料によれば、サウナで温まり血管が開いている状態から急に水風呂に入ると、急激な温度差によって血管が収縮し、血圧が上昇します。報告の中には血圧が200mmHg程度まで上がった例もあるとされ、これが脳卒中や心筋梗塞、狭心症につながるおそれや、脈の低下による不整脈で意識を失うおそれもあると説明されています。動脈硬化が進みやすい中高年や高齢者、血圧の高い人、心臓疾患のある人は特に注意が必要ですが、若い人でも急激な冷刺激で不整脈が起こる可能性はあるとされています。

このリスクを避けるためには、サウナ室から出てすぐに水風呂へ飛び込むのではなく、ぬるいお湯や掛け湯で少しずつ体を慣らしてから入ることが勧められています。ただでさえ血圧が大きく動くこの一連の流れの中に、酔って判断力が落ちた状態や、アルコールで血圧が変動しやすくなった状態を重ねることは、体調管理の難易度をさらに上げることになります。サウナ・水風呂・外気浴というリカバリーの一連の流れは、シラフでいるからこそ、自分の体調のサインを正確に感じ取りながら安全に楽しめるものだと言えます。

サウナ後の水分補給、正しい順番は?

サウナ後にまず優先すべきは、アルコールではなく水分そのものです。消費者庁が推奨する水分補給の目安は、入浴前にコップ1〜2杯、入浴中もこまめに、そして入浴後にもコップ1〜2杯です。汗にはナトリウムなどのミネラルも含まれているため、水だけでなく経口補水液やスポーツドリンクのようにミネラルを含む飲み物を選ぶ選択肢もあります。

この「まず水分」の工程を済ませたうえで、着替えて体をしっかり拭き、血圧が落ち着くまで30分ほど休憩スペースで休むことも、消費者庁の資料では入浴後の注意点として案内されています。サウナ後すぐに動き出したり、休憩もそこそこに一杯目へ向かったりするのではなく、この「休む」という工程を挟むこと自体が、体を回復モードに切り替える助けになります。

サウナ後の一杯には何を選べばいい?

水分をしっかり戻したあとであれば、次に「何を飲んで気分を締めくくるか」を選ぶ番です。ここで選択肢に入ってくるのが、ノンアルコールビールや炭酸水、麦茶、経口補水液といった一杯です。ととのった余韻を楽しみながら、体の水分バランスを崩さない一杯を選べるという点で、これらは「サウナ後の乾杯」の有力な候補になります。

銘柄や製法によって味わいの幅も広いので、自分好みの一本を探す過程そのものも「サウナ後の楽しみ」の一部にできます。ノンアルコールビールの選び方や比較はノンアルコールビールの選び方と比較で、ノンアルコール飲料全般の選択肢は大人のノンアル完全ガイドで詳しく紹介しています。「サウナ後は必ずノンアルでなければいけない」というルールを作りたいわけではなく、まず水分でリカバリーを済ませたうえで、そのときの気分に合う一杯を自由に選べる状態を作ることが大切だと私たちは考えています。

それでも「サウナ後の生ビール」を楽しみたいときは

サウナ後のビールという組み合わせ自体を否定したいわけではありません。大切なのは順番です。まずは水や経口補水液で体の水分をしっかり戻し、着替えて休憩スペースで血圧が落ち着くのを待つ。そのうえで、体調に問題がなければ、アルコールを含む一杯を選ぶという流れであれば、リスクを抑えながら楽しむ余地はあります。

逆に避けたいのは、水分補給を後回しにして最初の一杯からアルコールに手を伸ばすことや、サウナ前や二日酔いの状態でサウナ室に入ってしまうことです。「ととのい」の余韻を大切にしたいからこそ、その前後の順番には少し気を配ってみる。それが、サウナという時間を長く安全に楽しみ続けるための、シンプルだけれど効果的な工夫です。

飲まない夜の過ごし方をもっと広く知りたい方は、飲まない夜のリカバリー完全ガイドもあわせて参考にしてください。

よくある質問

サウナ後にビールを飲むと本当に危険?

少量であっても、発汗ですでに水分を失った状態にアルコールの利尿作用が重なるため、体の水分バランスをさらに崩す方向に働きます。まずは水分補給を優先し、そのうえで選ぶのが安全です。

サウナ前に飲酒してもいい?

消費者庁や専門家は、飲酒後(二日酔いを含む)のサウナ利用を避けるよう勧めています。判断力の低下や脱水リスクの重なりが理由です。

サウナ後の水分補給は何を飲めばいい?

まずは水や経口補水液を優先しましょう。汗にはミネラルも含まれるため、電解質を含む飲み物も選択肢になります。

ノンアルコールビールならサウナ後に飲んでいい?

アルコールを含まないため、利尿作用が上乗せされる心配はありません。水分補給を済ませたあとの一杯の選択肢として検討しやすいものです。

二日酔いでサウナに入ってもいい?

専門家は飲酒後・二日酔いの状態でのサウナ利用を避けるよう勧めています。体調が回復してから利用しましょう。

参考文献